研究概要 |
N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体およびその誘導体を用いた不斉触媒反応を検討し、以下の成果を得た。 (1)α-ジアゾエステルの分子間不斉C-H挿入反応にRh2(S-PTTL)4を適用したところ中程度の不斉収率で生成物が得られることが分かった。さらに条件を精査したところ、不斉収率は84%まで向上することが判明した。 (2)Ns=IPh(Ns=2-NO2C6H4SO2)をナイトレン前駆体とするシリ,レケレンァセタールの不斉アミノ化反応において、Rh2(S-TCPTTL)4を触媒に用いると最高98%の不斉収率でα-フェニルグリシン誘導体が得られるごとを見出した。また、2,2-ジメチルクロメンに対し(4-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンを用い不斉アジリジン化反応を行うと94%の不斉収率が得られることが分かった。 (3)Rh2(S-PTTL)4の四つの架橋配位子のうち一つのリガンドのフタルイミド基に末端スチリル基を持つリンカーを組み込んだ二核ロジウム錯体スチレンおよび架橋剤1,3-ゼス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパンとの共重合反応により得られる固相担持型不斉触媒をエナンチオトピックなベンゼン環識別を伴うα-ジアゾ-β-ケトエステルの分子内不斉芳香環C-H挿入反応に適用したところ、触媒活性・不斉収率を損なうことなく100回の再利用が可能であることが分かった。
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