研究概要 |
1.グルコースを還元末端にに有するオリゴ糖リファイン化原料の調製 タマリンド種(Tamarindus indica)由来のキシログルカンを、エンドグルカナーゼで処理することにより、6位が置換されていないグルコースユニットにおいて、位置選択的にグリコシド結合を切断し、9糖(XLLG)をグラムスケールで調製した(X:Xyl-Glc, L:Gal-Xyl-Glc, G:Glc)。この混合物にβ-ガラクトシダーゼを作用させ、7糖(XXXG)を調製した。 2.オリゴ糖を水中で直接活性中間体へ変換する技術の確立 ペプチド合成の汎用試薬である脱水縮合剤、塩化4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウム(DMT-MM)を用いることで、糖加水分解酵素に基質として認識される新規な活性化糖供与体を、無保護糖からヒドロキシ基を全く保護することなく、水中で直接合成した。 3.トリアジン誘導体の加水分解評価 ラクトースとDMT-MMから容易に合成されるDMT-β-LacをpH5.5,200mM酢酸緩衝液に溶解し、Trichoderma reesei由来エンドグルカナーゼIII(EGIII)を加え、30℃で反応させたところ、加水分解が速やかに進行し、ラクトースが生成した。一方、p-ニトロフエニルラクトシドを用いた場合は加水分解がほとんど起きないことから、DMT-β-Lacは糖供与体として十分な反応性を有していることが示唆された。 4.酵素触媒による配糖体の合成 β-ラクトースに対して2当量のDMT-MMと2,6-ルヂジンを加え、室温で24時間反応させることにより、水中で新規活性化基質を直接生成させた。続いて、EGIIIとフエニルチオセロビオシドを加え、30℃でインキュベートした結果、ラクトシル化生成物である4糖の生成が認められ(ラクトースからの収率=32%)、無保護糖からのワンポットラクトシル化を達成した。
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