研究課題
本研究では、高周期不飽和三員環化合物と末端または内部アセチレンとの反応による環状化合物の生成機構の解明を行い、ケイ素多重結合化合物を活用した新規炭素π電子系の構築法を検討した。1. 骨格の飽和原子上に^tBu_2MeSiCH_2基を導入したシクロトリシレン及びシクロトリゲルメンを新規に合成した。これらの不飽和三員環ケイ素化合物や不飽和三員環ゲルマニウム化合物は内部アセチレンである3-ヘキシンまたは4-オクチンと無触媒下で反応し、^tBu_2MeSiCH_2基の転位を伴ったトリシラシクロペンタジエン及びトリゲルマシクロペンタジエンが生成することを見出した。これらの化合物はシクロペンタジエンの骨格炭素原子3個を高周期元素に置き換えた新しいタイプのπ電子系高周期シクロペンタジエンである。2. 合成したトリシラシクロペンタジエンに対し、2当量のKC_8を用いた還元反応後、LiBrによる対カチオン交換反応を行う事で、骨格にケイ素原子を3つ有するケイ素-炭素混合型6π電子系芳香族化合物リチウムトリシラシクロペンタジエニドを暗赤色の結晶として合成する事に成功した。NMRスペクトル及びX線結晶構造解析による分子構造から、リチウムトリシラシクロペンタジエニドは溶液中及び結晶状態ともに五員環部においてπ電子が非局在化した6π電子系芳香族化合物であり、Liイオンは五員環アニオン部に対してη^5型で配位していることを明らかにした。この溶液に2当量の12-crown-4エーテルを作用させると、置換基の転位を伴い、リチウムフリーな初めての環状ジシレニドが生成することを見出した。
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Phosphorus, Sulfur, Silicon Relat. Elem. (印刷中)
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