研究課題/領域番号 |
19020032
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90205831)
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研究分担者 |
鈴木 健之 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10262924)
竹中 和浩 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教 (20423113)
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キーワード | 有機触媒 / aza-MBH 反応 / 二重活性化 / 不斉 / 触媒 / キラルスピロ骨格 |
研究概要 |
我々はこれまで、独自に展開している"二重活性化型触媒"概念に基づいて開発した酸-塩基型キラル有機分子触媒が、不斉aza-Morita-Baylis-Hillman (aza-MBH)反応において大変有用であることを見出している。本反応は、有害な金属を必要とせず、穏和な条件下で進行し、アトムエコノミー性に優れているばかりか利用価値の高い生成物を与えるため、医薬中間体などの合成法として注目を集めている。本年度は、酸-塩基型キラル有機分子触媒の更なる拡充を図ると共に新規不斉反応の開発を行った。また、当該触媒の基本骨格として新たな機能が期待できるキラルスピロ骨格の効率的構築も検討した。 1. ルイス塩基触媒として作用するイミダゾールをo-フェニレンスペーサーを介してBINOLの3位に導入した新規キラル有機分子触媒の合成に成功した。本イミダゾール触媒は、イミンならびにニトロアルケン類を基質とする不斉aza-MBH反応において高い活性を示し、ニトロ基、アミノ基、オレフィン部位を擁する多官能性生成物をエナンチオ選択的に与えた。二面角の大きいH_8-BINOLを母核構造に適用した触媒を用いると、触媒の不斉骨格がS配置に固定されているにもかかわらず絶対配置の異なる生成物が得られる事も見出した。 2. キラルスピロ骨格に基づいた光学活性化合物は、高い剛直性から誘起される効果的な不斉環境を有するため様々な分野への利用が期待されているものの、効率的合成法が確立されておらず応用研究が制限されている。我々は、多様な官能基の導入が可能である汎用性の高いキラルスピロビラクタムを設計し、これまでに類の無い不斉分子内ダブルBuchwald-Hartwig反応を鍵段階とすることでその効率的創製に成功した。本プロセスは、目的化合物を入手容易なバルビツル酸からわずか三工程で高収率・高エナンチオ選択的に与えるため、キラルスピロ化合物の実用的供給法として意義深い.
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