4-ヒドロキシフェニル酢酸メチルの水酸基をTHPで保護した後エステルを還元してアルコールとし、これを市販のMerrifield's resinと結合させた。THPをはずしてジクロロホスホノ酢酸エチルと反応させた後2-t-BuPhOHまたは2-Ph-PhOHと反応させて新規ポリマー担持HWE試薬AおよびBを合成した。得られた試薬Aと2-エチルヘキサナール、n-オクタナール、およびPhCHOとのHWE反応を行なったところ、それぞれ88、83、83%のシス選択性を示すことが分かった。この結果はこれまで報告されたポリマー担持HWE試薬の中で最も高いシス選択性であった。さらに2-Ph-PhO基を持つ試薬Bでは、選択性が89、83、88%に向上した。さらに高い選択性を目指して、オルト位にかさ言い置換基を持つ試薬を合成することとし、4-ヒドロキシフェニル酢酸メチルのFriedel-Crafts反応による2位t-Bu化反応を行ない、この試薬をTHPで保護、還元後Merrifield's resinと結合させた。リン化合物との結合、あるいはその後のポリマー担持HWE試薬への変換はまだ成功していないが、今後条件検討により2つの2位置換フェニル基を持つHWE試薬を合成し、さらに高いシス選択性を持つポリマー担持HWE試薬の開発を行なう予定である。また、分子内HWE反応についても研究を行なった。その結果、(2-t-BuPhO)_2P(O)CH_2CO_2(CH_2)nCHO(nが9以上)をNaHまたはNaI-DBUのTHF溶液に0度または室温で5-10時間かけて滴下することにより96-99%の高いシス選択性で、かつ高収率で大環状ラクトンが得られることが分かった。2-t-BuPhOの部分をEtOに換えると99%のトランス選択性でラクトンが得られ、立体選択的ラクトン化が可能であることが分かった。
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