研究課題/領域番号 |
19020067
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
小松 紘一 福井工業大学, 工学部, 教授 (70026243)
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研究分担者 |
村田 靖次郎 京都大学, 化学研究所, 准教授 (40314273)
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キーワード | 水素内包フラーレン / ヘリウム内包フラーレン / 開口フラーレン / NMR / カチオン / アニオン / 低磁場シフト / ヒドラジン |
研究概要 |
新世代の炭素ナノマテリアルの重要な基幹材料と期待されているにもかかわらず、その製造効率が極端に低いため応用開発が大きく立ち後れていた内包フラーレン類の効率的有機合成のための分子変換技術を確立することを目的に本研究を行ない、下記に示す結果を得た。 1、ヘリウム内包フラーレンの合成 13員環開ロフラーレンにヘリウムを導入後、直ちに開口部を11員環に縮小した開ロフラーレンを合成した。開口部外側に結合した水素のNMRシグナルは内包ゲスト分子の存在を敏感に反映することが明らかとなった。さらに、先に確立した手法によりヘリウム内包フラーレンへと変換し、その物性を明らかにした。 2、水素内包フラーレン2価アニオンの合成とNMR 水素内包フラーレンを2当量以上のNaSMeで還元することにより2価アニオンを合成した。フラーレン骨格の5員環と6員環の芳香族性は逆転し、内包水素はδ26.4ppmという驚くべき低磁場にNMRシグナルを示すことを見出した。 3、水素内包フラーレン誘導体カチオンおよびアニオンの合成とNMR 水素内包フラーレンに適切な有機基を結合させたアルコールおよび水素付加体から、酸および強塩基の作用により、それぞれ対応するカチオンおよびアニオンを合成した。内包水素のNMRシグナルは、カチオンではδ-2.89、またアニオンではδ-0.60ppmといずれも中性状態に比べて低磁場シフトし、フラーレンπ共役系の芳香族性が低下していることが明らかとなった。 4、新規16員環開ロフラーレン誘導体の合成 12員環の開口部をもつフラーレン誘導体と種々の芳香族ヒドラジンとの反応によって、新たな10種類の16員環開ロフラーレンを合成した。
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