研究概要 |
時間的・空間的な情報を得るためにはイメージングの手法が重要であるが、細胞内を早い速度で「離合集散」しながら複合体形成に関わる分子を捉える蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy: FCS)を用いる。FCSは動きの速い分子の相互作用検出に適し、1分子レベルまでも検出が可能である。単1細胞内の分子間相互作用や、分子数の変化は細胞内の測定場所での違いが大きく反映されるために、正しい評価を行うためには多数の点でFCS測定を行い、空間情報として分子の「動き」や「結合」の情報を得る必要がある。これらの点を克服するために、全反射と斜光光学系を採用し、細胞中の4点(多点)でFCS測定を同時に行うことができる測定システム(薄層斜光および全反射蛍光相関分光装置、Laminated Optical sheet and Total Internal Reflection-Fluorescence Correlation Spectroscopy、LOTIR-FCS)の開発を行ない、細胞内分子間相互作用の統合的理解を目的とした。本年度は多点測定が可能であることを実証することとしたが当初想定した4点ではなく,前倒しで7点測定を完成させた。さらに,膜結合性GFPの構築を行い,実際に生細胞中におけるタンパク質の7点同時測定が可能であることを実証した。現在,7点からの情報のすべての組み合わせである21通りの空間相互相関解析を行っている。また,膜結合タンパク質としてNaポンプタンパク質の測定を行った。その結果,複合体を形成することで確実に拡散速度が低下することを明らかにした。
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