研究課題
局在タンパク翻訳は細胞局所のシグナル伝達を効率化し、細胞内情報の保持・統合・読み出しを制御し、細胞外変化に適応するために重要な役割を果たしていると考えられる。特に神経細胞において局所タンパク翻訳はシナプスの機能修飾など神経の機能に深く関与しており、この機構を明らかにすることは神経細胞の恒常性・可塑性および疾患メカニズムの解明のため重要である。本研究は、神経細胞における局所タンパク翻訳を可視化・定量する方法を確立し、また、シナプス刺激により任意のタンパク発現を制御することを目的とする。本年度はこれまでの成果を基に、以下の発展を得た。1. 部位特異的タンパク蛍光ラベル法を用いた新規タンパク合成検出プローブの改良を行い、よりシグナル・ノイズ比の高いプローブを作成した。2. 新規のタンパク蛍光ラベル基質開発の共同研究を行い、シグナル検出感度を高めた。3. 神経活動依存的な遺伝子発現制御エレメントを利用した遺伝子活性化プローブを開発し、(1)蛍光タンパクや発光タンパクの合成を単一神経細胞においてリアルタイムで観察する系の構築に成功した。また、(2)このプローブをレンチウイルスベクターに挿入し、この組換えウイルスのインビボ感染法させることにより個体動物の大脳おいて活動依存的なタンパク合成の検出に成功した(Kawashima et.al., PNAS, 2009)。
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Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106
ページ: 316-321