(1)アネキシンレクチンを使ったプローブの調製と細胞表面糖鎖検出の検討 グリコサミノグリカン結合性のアネキシンレクチン(ANX1、ANX4、ANX5)について、Alexa蛍光色素を結合させ、蛍光標識レクチンを作成し、細胞表面への結合性を細胞染色やフローサイトメトリーにより検討した。細胞染色の結果、いずれのアネキシンでも細胞表面がドット状に染色されたが、ANX5とANX5のリガンドは類似した局在を示し、一方ANX1のリガンド分布は異なっていた。これらの結果から、アネキシンを用いて細胞表面の特徴付けができることが確認され、今後は各アネキシンの認識するリガンドの同定を進める。 (2)新規レクチン(ZG16p、GLTP)の特異性解析 ZG16p、GLTPの2種類のレクチン様タンパク質について、糖鎖結合特異性を調べたところ、ZG16pは硫酸化オリゴ糖鎖に、GLTPはβ-グルコースに対する結合性があることが明らかになった。特にGLTPは、コンガナバリンAと比較してグルコース単糖に対する結合性が強く、グルコースの特異的な検出ツールとして有望である。 (3)癌細胞表面糖鎖のプロファイリング 種々の植物レクチン(UEA-1、WGA、ConA、RCA-1)および抗糖鎖抗体を用いて、婦人科癌由来癌細胞について、細胞表面糖鎖の特徴付けを行ったところ、レクチンおよび抗体により認識される糖鎖は、細胞表面に均一に分布しているのではなく、特定の領域に局在していることが明らかになった。また、抗体が認識する糖鎖を持つ糖タンパク質を同定したところ、癌の転移や接着性に関わることが報告されているタンパク質であることがわかり、癌化における糖鎖構造変化が、癌の特性にも関わることが推定された。
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