近年in vivoで利用可能な『特定基質に対するイメージングプローブ』の開発が、様々な生命現象を解く上で鍵になる事が認識されている。本申請者は、天然タンパク質を基体に用い、これに様々な基質応答性を付加した刺激応答性人工タンパク質のデザイン、利用を考える。このタンパク質は、本来持っている天然由来のタンパク質機能が、特定の基質との相互作用により変化するため、この機能活性の変化により、特定基質の濃度変化を読み出せると期待される。 今年度は主に、(1)金属イオン応答緑色蛍光蛋白質の構築、及び、(2)種々の有機分子とのインターフェイスとなる設計蛋白質モジュールの構築を行った。(1)に関しては、サーキュラーパーミューテーションを施した緑色蛍光蛋白質に対して、金属イオン(Cu^<2+>、Ni^<2+>、Zn^<2+>等)に応答し構造転移を起こす設計蛋白質を導入する事により、金属イオン存在下においてのみ蛍光発色を起こす蛍光蛋白質変異体の構築に成功し、これを論文、学会等にて報告した。(2)に関しては、疎水性小分子であるアダマンタン、D-カンファー等と結合する4本鎖コイルドコイル蛋白質変異体の構築に成功し、現在論文投稿中である。また一方で、生体内核内レセプターのリガンドの一つとして知られている、レチノイン酸、レチノール等に結合する5本鎖コイルドコイル蛋白質変異体の構築にも成功しており、今後、これらと蛍光蛋白質変異体との融合による新たな、センサー蛋白質の構築を目指していく。
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