研究概要 |
ヒト組織再構築中に生じる環境的ヘテロ集団(不均一性),細胞的ヘテロ集団(不均質性)に対する分業組織の解明を目指し,細胞レベル(微視的レベル,岬オーダー)での増殖・分化の現象を局所把握かつ1細胞ごとに生じるイベント(分裂・遊走・物質生成)を生物的パラメータにて整理した.さらに空間的・時間的積分することにより,細胞間のコミュニケーションを加味した組織レベル(巨視的レベル,mm,cmオーダー)で集塊増殖,分化,シグナリング,力学的強度解析の方法論を構築することを目指した. 平成19年度では,継代培養されたウサギ硝子軟骨を用い,コラーゲン塗布面上の細胞形態とコラーゲンゲル内の細胞形態を関係つけた.さらに,コラーゲン塗布面上にて,アルカリフォスファターゼ活性を有する終末分化細胞が大型の多角形細胞であることを見出し,その頻度が継代回数の増加とともに変化することがわかった.さらに,ゲル内での細胞形態は,肥大化した球状を呈し,II型コラーゲンを生成することがわかった.また,これらの細胞形態変化と遺伝子解析は,X型コラーゲンの発現と一致し,細胞形態観察で細胞頻度解析が可能であることを示した。 また,ゲル内の細胞分布は,酸素濃度分布に依存すると考えられることから,ゲル内酸素濃度分布測定を実施した.培養21日目のゲル内酸素濃度分布は,表層より約1/10まで深部にて低下することがわかった.さらに,静置培養においては,ゲル表層の酸素濃度は,気液界面での飽和値よりの70%まで低下することがわかり,酸素拡散律速であることが示唆された.そこで,振とうを施したゲル包埋培養は,静置培養にくらべ細胞増殖が良好となり,ゲル表層での細胞層厚さが大きくなることが示され,振とう操作が重要なファクターであることがわかった.
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