研究課題/領域番号 |
19021035
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片山 佳樹 九州大学, 工学研究院, 教授 (70284528)
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研究分担者 |
新留 琢郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20264210)
森 健 九州大学, 工学研究院, 助教 (70335785)
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キーワード | プロテインキナーゼ / 金ナノ粒子 / 基質 / ペプチド / ハイスループットスクリーニング / 比色分析 / 細胞内シグナル / 薬物探索 |
研究概要 |
クエン酸還元により調製した表面が負荷電を有する金ナノ粒子と正荷電を持つように設計した標的プロテインキナーゼ特異的な基質ペプチドを利用して、金ナノ粒子の凝集状態の変化に基づく色調変化を利用した迅速なプロテインキナーゼ活性評価法の基礎を確立することが出来た。すなわち、プロテインキナーゼA、C、MAPキナーゼ、MAPKAPキナーゼなど種々のキナーゼを対象とし、その特異基質を全体として正荷電となるよう設計、合成し、精製キナーゼを用いていずれも活性評価に成功した。また、その凝集メカニズムを調べたところ、同一荷電の無機カチオンでは、金粒子を凝集するのに1000倍以上の濃度を要する事を見出し、ペプチドの凝集能力は、荷電のみに由来するのではなく、金表面との化学的相互作用が重要である事を見出した。さらに、本手法を用いて標的キナーゼの阻害剤を迅速に探索するシステムを確立した。既存の阻害剤を用いて検討したところ、いずれにおいても、文献値とほぼ一致するIC50値を得ることが出来、既存のどの手法よりも簡便迅速な阻害剤スクリーニング法であった。 また、細胞破砕駅を用いた検討により、細胞内のプロテインキナーゼ活性も計測可能であることを見出した。細胞破砕液中には極めて多種類の成分が含まれるにもかかわらず、目的キナーゼ活性のみを検出するように金ナノ粒子の凝集現象を制御する事に成功した。さらに、プロテインキナーゼAを遺伝子として導入して強制発現させた細胞を用いると、非常に高感度に活性がアッセイでき、本システムを用いれば、例えば、未知のキナーゼ遺伝子を取得すれば、それを発現させて精製しなくとも、細胞で発現させるだけで基質を探索可能であることを示した。
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