研究概要 |
フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分離装置(FT-ICR/MS)による超高分解能・超高感度質量分析を基礎として,組織や単離オルガネラ,さらに-細胞を材料とした生体分子の超微量同定・定量のための基盤創造を目指し,下記実験項目を実施した。 (1)メタボライトプロファイル比較(ディファレンシャル,メタボロミクス)と,新規マーカー分子の同定を目的とし,従来の主成分分析に加え,Partial Least Square解析によるメタボローム変動の定量化を可能にした. (2)FT-ICR/MS試料直接導入法による一斉解析に加え,nanoLC-リニアトラップ型TOF/MSとの分析データ補完によって代謝産物の一斉解析と詳細な構造情報の取得と定量の基礎を構築した. (3)ヒト内生メタボライトのカタログ化を行い,すでに構築されているKNApSAcKデータベース(http://kanaya. aist-nara.ac.jp/KNApSAcK/)に格納した.FT-ICR/MSによる一斉分析結果から,ディファレンシャルメタボロミクスと代謝産物の同定が可能となった. (4)骨芽細胞の培養と石灰化モデル実験を行い,メタボローム変動の定量化とメタボローム変動に寄与するメタボライトの特定を行った. (5)がん細胞の骨転移モデルを構築し,メタボローム変動を解析した. (6)ディファレンシャルメタボロミクスによる培養細胞の代謝変動,一連のFT-ICR/MSメタボロミクス研究手法を論文化し発表した.
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