研究概要 |
アンドロゲンリセプター(AR)は,男性ホルモンDihydrotestosterone (DHT)と結合すると,核内に移行するとともに,細胞膜状のSrcと相互作用することが知られている.このARとSrcとの相互作用を,発光タンパク質luciferaseの再構成法により検出する新たな薬物スクリーニング法を開発した.二分割したluciferaseのN末側とC末側をそれぞれ,ARとSrcに連結した.培養細胞Cos-7細胞に発現させ,DHT刺激を加えた.その結果,発光強度が5倍程度上昇することがわかった.発光強度はDHT濃度依存的であり,女性ホルモンestrogenには全く応答しないことがわかった.様々な薬物や化学物質に対して,ARのgenomicな作用とnon-genomicな作用を調べ比較検討した.(ACSChem. Biol., 2, 484-492 (2007)) 生きた細胞内ミトコンドリアで機能するRNAを,塩基配列特異的に可視化する蛍光プローブを開発した.標的とするmRNAは,ミトコンドリアゲノムから合成されるNADH dehydrogenase subunit 6 (ND6)mRNAとした.ND6 mRNAの選択的な認識を目的として,RNA結合タンパク質Pumilioの変異体を作製した.ND6 mRNA配列選択的なプローブの認識を,ゲルシフトアッセイにより実証した.このプローブを用いて,生きた単一のミトコンドリア内におけるND6 mRNAの局在とその動態を,を蛍光顕微鏡により観察し明らかにした.細胞内在性のmRNAを可視化できる新たな原理に基づくプローブであり,細胞内RNAの機能解析の進展が期待できる.(Nature Methods, 4, 413-419 (2007))
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