パイロシーケンシングによる細胞内mRNA絶対定量を可能にするためのプライマー配列(パイロフライマー)を開発するため、(1)「遺伝子」発現定量のための低冗長性を許したpolyA近郊パイロプライマー、および(2)「スプライシングバリアント」を完全定量するエクソン境界近傍パイロプライマーを現実時間内で設計することを目的としそのための方法論とシステムを開発した。 【システム構成】プライマーの設計には1)候補配列の全cDNAに対するユニーク性検索、2)プライマーTm値の計算、3)マルチプレックスプライマーのクロスハイブリ性検出の3段階が必要である。1についてはFPGAボードを用いた論理回路を設計し、計算を約1000倍に高速化して1年かかる計算を数日まで短縮した。本結果については、情報処理学会研究報告会(2008-BIO-14)で研究報告を行った。2も数週間で計算できる様に既存のプログラムを改良した。3は組み合わせ最適化問題のため、ギブスサンプリングアルゴリズムを用いた準最適解を高速に解かせる方法を考案し、100程度のプライマーの組み合わせを解くことができるようになった。本システムは特許申請準備中である。 【実験による検証】ヒト乳がん由来MCF-7細胞及びマウスES細胞を用いて、遺伝子発現している転写因子を数個〜10個程度選択し、設計したプライマーが実際に機能するかPCR実験による検証を行った。その結果、Tm値の依存度が大きかったがシステムを用いて配列のTmを微調整することで検出能力の高いプライマーが得られた。
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