研究概要 |
本研究課題では,(1)ポリジアセチレン(PDA)ナノ結晶サイズの単分散化,(2)PDAナノ結晶のカプセル化,(3)パターン基板上でのカプセル化PDAナノ結晶の配列制御を行い,超階層構造形成を研究目的とした.本年度の研究成果を以下にまとめる. (1)サイズの単分散化に関しては,「再沈-マイクロ波照射法」と無脈流シリンジポンプ[ISCO,Model-260D]を用いた実験スケールの拡大の両面から検討を行った.その結果,後者の手法がより単分散性が高く且つ明瞭な矩形状PDAナノ結晶を与えた.(2)PDAナノ結晶水分散液の透析処理・濃縮後,シード乳化重合(Styrene:DVB=10:1,KPS:2mg)によるカプセル化を行った.スチレンを2回に分けて仕込み,外径を段階的に増大させることに成功した.(3)カプセル化PDAナノ結晶のモデルとして,単分散ポリスチレンラテックス[PSL:L-PSL(粒径:2μm),S-PSL(粒径:350nm)]を用いたパターンSi基板上での配列制御を試みた.Tapered Cell法により,単層・大面積なPSL配列制御を行うとともに,L-PSLでは繰り返し操作で作製した2層目に「カゴメ構造」の構築に成功し,光伝搬の閉じ込め効果を確認した.S-PSLではより激しい熱運動のために累積構造の形成が困難となる.そこで,Tapered CellにITO電極を組み込み,メニスカスの後退移動速度と直流印加電場の効果を検討した.その結果,S-PSLから構成される「カゴメ構造」が累積操作を行わずに一回の操作で作製可能であることが確認された.今後,カプセル化PDAナノ結晶の配列制御と光学特性評価を試みる.
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