研究課題
本研究では電荷移動錯体結晶が低次元金属的導電性を発現する要因である電荷移動相互作用を駆動力としたπ共役系有機分子の混合原子価状態積層化をπ共役系分子自己集積化の分子間相互作用とした新概念の階層構造制御法によるナノファイバー状構造体を構築すること目標として研究を行い以下の成果を得た。室温でテトラチアフルバレン(TTF)溶液に金属塩を添加するだけでTTFが混合原子価状態積層化したナノワイヤーが形成することを見出し、その構造を詳細に検討する中で、ナノワイヤー中には酸化されたTTFの電荷を中和する量に相当する用いた金属塩に含まれる塩素イオンや硝酸イオンが取り込まれて結晶化していることから、結晶化を阻害する有機アニオンを用いれば、混合原子価状態積層化をπ共役系ユニット同士の主たる分子間相互作用として階層構造制御されたナノファイバー状構造体を構築できると考えられる。この着想の可能性を探る目的で種々の市販の有機銀塩を用いてアセトニトリル中でTTFを混合させたところ、パーフルオロブタン酸の銀塩を用いた場合にナノファイバー状構造体が形成することを走査型電子顕微鏡観察により確認できた。さらに、生成物が紫色を呈していることと、紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける2000nm付近のブロードな吸収が観測されたことから、TTF同士の混合原子価状態積層が達成されていることが確認できた
すべて 2007
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