研究課題/領域番号 |
19022023
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
柳 久雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (00220179)
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研究分担者 |
冨田 知志 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (90360594)
山下 兼一 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 助教 (00346115)
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キーワード | π共役ポリマー / ポリフェニレンビニレン / ラマン散乱 / レーザー作用 / 光導波路 / ASE / SRRS / DFB |
研究概要 |
π共役オリゴマーが自己組織化した低次元結晶は、室温で増強自然発光(ASE)と誘導共鳴ラマン散乱(SRRS)現象に基づく共振器をもたないレーザー作用を示す。この新しい発光現象には、結晶全体にわたるコヒーレントな分子振動が関与していると予想されるが、最近、発光性のπ共役系ポリマーをスピンコートした薄膜導波路においても同様の発光増幅現象が観測されている。本研究では、この現象の発生メカニズムを明らかにするとともに、ポリマー光増幅器への応用を目指して、種々のポリマー薄膜導波路および共振器構造を作製してその発光増幅現象を観測し、以下の成果を得た。 (1) 発光性π共役系ポリマーとして種々の側鎖を有するポリフェニレンビニレン(PPV)を用い、スピンコート法により二次元スラブ型薄膜導波路、一次元チャネル型薄膜導波路およびを分布帰還型(DFB)型共振器構造をもつ薄膜導波路を形成した。 (2) ジオクチルオキシ基を有するDOO-PPVを用いたスラブ型薄膜導波路において、膜厚が導波路解析により求めたカットオフ膜厚(TEモード:43.5nm)より厚いときに光閉じ込めが起こり、ASEとSRRSによる光増幅が得られることがわかった。 (3) シアノ基を有するCN-PPVを用いたチャネル型薄膜導波路において、一次元光閉じ込め効果により、二次元スラブ型薄膜導波路に比べて低い励起エネノLギー閾値でASEが発生することが観測された。 (4) 回折格子上にDOO-PPV薄膜をスピンコートした分布帰還型(DFB)型共振器薄膜導波路において、ASEの波長帯で3次の共振モードによるレーザー発振が得られた。 (5) DOO-PPV薄膜を用いた分布帰還型(DFB)型共振器薄膜導波路において、励起波長をシフトさせてDFB共振モードとSRRSをカップリングさせるこどにより、SRRSのピーク強度の増強、励起エネルギー閾値の低下、およびノイズとなるASEの低減を実現することができた。
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