研究課題
有機材料を用いた光電変換系に関する研究は、基礎科学的観点から実用技術開発にわたる広範な興味を集めている。本研究では、機能性色素-導電性高分子の複合膜の構造と光電変換特性の相関を見いだし、光電変換特性制御のための複合膜設計指針を得る事を目的に研究を進めており、平成19年度には以下の成果を得た。導電性高分子としてポリチオフェン、機能性色素としてチオフェン部位を備えたフラーレン誘導体を用いて、電解重合法によって複合膜を得た。これらの構造は分光測定・電子顕微鏡観察・電気化学測定などで確認した。この複合膜に、メチルビオローゲン等の犠牲的電子受容体の存在下で光照射を行うと、安定な光電流が発生した。対応するフラーレン部位を含まないポリチオフェン膜との比較の結果、フラーレン部位の存在により光電流が増強される事が示された。この事は、フラーレン部位の良好な電子受容性に由来して、複合膜内でポリチオフェンからフラーレンへの光誘起電子移動が生じて光電流が増強されたと説明する事が出来る。また、単独で電解重合可能である特徴を持つ、ターチオフェン部位を備えたフラーレン誘導体の電解重合膜の光電変換特性の評価にも成功した。さらに、ポリチオフェンとフラーレンーエチレンジアミン付加体粒子の複合膜の作製に成功した。この複合膜系においても光電変換特性評価を行い、フラーレンーエチレンジアミン付加体粒子の存在が光電変換効率を向上させるために貢献する事を見いだし、この効率向上がポリチオフェンーフラーレン部位感の光誘起電子移動によるものであることを示唆する知見を得た。
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