研究概要 |
新規骨格を有するπ共役系オリゴピロール誘導体の合成を基盤として、その物性評価や機能性発現を目指した研究を行っており、なかでも蛍光性C_3架橋型オリゴピロールは効果的なアニオン認識能を示し(Eur.J.Org.Chem.2007, Org, Biomol.Chem.2008ほか)、アニオン架橋型超分子ネットワークの構築を実現している。この動的構造変化を示すπ共役非環状型アニオンレセプターを基盤として、共有結合多量体の合成および外部刺激(アニオン)応答性の評価をおこなった。アニオンレセプター共有結合多量体に関して、現在4量体までその合成ルートを確立しており、一連の多量体は溶液中でアニオン錯化によりらせん構造を形成し、とくに2量体は固体状態でアニオンを架橋した2重らせん構造を形成することをX線構造解析によって見出した(投稿準備中)。 一方、レセプターπ面間での積層を利用した超分子集合体(ゲル、液晶、そのほかの組織体)の創製を種々の置換基の導入によって実現した(J.Am.Chem.Soc.2007)。さらに、疎水π面と親水性基・疎水性基からなる両親媒性誘導体に注目し、組織体構造の多様性の発現や集合体形成機構の解明を試みた。両親媒性レセプターからなる組織体は、その構造が周辺置換基、溶媒(水溶液または炭化水素系溶媒など)、温度等の外部環境に大きく依存することを、各種分光法や表面測定によって明らかにした(投稿準備中)。
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