近年CMOSプロセスを利用したSi細線導波路の開発が進み、シリコンLSIおよび信号処理システムに光配線を導入する"シリコンフォトニクス"が提唱された。Si基板上への光源、光増幅器の集積化はシリコンフォトニクス実現に向けた試金石となる。本研究ではその発光材料として、我々のグループが開発したErSiO超格子を提案する。この結晶はErを構成元素とし周期0.86nmの超格子構造となっている。そのため結晶欠陥や偏析がなく濃度消光が抑制され、均一な結晶場により室温でも線幅4meVのPL微細構造が観測される。詳細の解析の結果、ErSiO超格子はEr_2SiO_5の組成を有する層状結晶であることが分かった。今年度はEr_2SiO_5結晶の光学特性の詳細を調べるともに、Er_2SiO_5導波路発光デバイスの光学利得について検討を行った。アップコンバージョンを考慮した解析から、導波路長1mm以下で10dBの光学利得が可能であると見積もられた。また本研究では、Er_2SiO_5結晶を新たな光増幅媒質とする小型光導波路増幅器の検討を行った。Si細線導波路と結合可能なSiガイド層埋め込み型Er_2SiO_5光導波路を提案、作製し良好な導波特性を得た。
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