位相変調光信号の品質劣化を抑制する方法関して次の研究を行った。 1.ファイバ中の四光波混合の飽和を利用した振幅制限器の振幅雑音除去特性を測定した。繰り返し周波数10GHz、パルス幅約7psのパルス列を用いた実験により、広い範囲の光信号対雑音比をもつ入力信号に対して振幅雑音除去が可能であることを確認した。 2.シンボル速度が10GS/sの差動4値位相変調信号を生成し、上記の振幅制限器を通した後に40または56kmのファイバ伝送路を伝送させる実験を行った。その結果、振幅再生器を通した後に伝送せると、振幅揺らぎを原因とする位相雑音(非線形位相雑音)が大幅に低減され、ビット誤り率を下げることができる、または、伝送信号の電力を大きくすることができることを実証した。 3.差動位相変調信号を遅延干渉計によりオンオフ信号に変換してから振幅再生を行い、再び位相変調信号に変換する再生方式の実験を行った。この方式の位相変調信号再生器においては、オンオフ信号の振幅雑音を強く低減する再生器の利用が必須になる。そのために、1本の高非線系ファイバを折返しで利用する双方向型信号再生方式を考案し、この振幅再生器を2段縦続に接続して振幅再生実験を行った。計4回の信号再生によりオンオフ信号の振幅雑音を大幅に除去することができた。また、この振幅再生器を用いて、RZ-DPSK信号からNRZ-DPSK信号への変換を行った。 4.複数波長チャネルの光信号を1つの非線形媒体を用いて同時に信号再生する方式について考察を行った。四波混合の飽和の際のポンプ光デプレションが重ならないようにパルス例のタイミングを調節することにより、2波長信号の同時再生が可能であることを示した。
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