研究概要 |
本研究の目的は、高速光パケットスイッチングシステム実現のためのキーデバイスである高速光スイッチと実用的な光バッファを主に開発することにあり、今年度は、申請者によりこれまでナノ秒での高速応答が示された半導体部分屈折率変調多モード干渉型光スイッチ(MlPS-P)を見直し、一層の高速応答化、低電流動作化、偏光無依存化、そしてコンパクト化を達成すべく、マッハツェンダ型(MIPS-MZ)に構造をシフトし、特性向上の検討を行った。また当該高速光スイッチを適用した、現実的なファイバ遅延型光バッファ実現のための基本構成並びに課題について検討を行った。さらに、高速光ネットワークに不可欠な光再生デバイスやシリコンフォトニックデバイスの検討も行った。主な実績は以下の通りである。 1,キャリア閉じ込めに優れたInAIGaAs/InAIAsを用いたMIPS-MZ光スイッチによリ、3.5mAという低電流での動作が実現した。また数nsでの光スイッチングも実証し、低消費電力、高速光スイッチとして有望であることを示した。他方、若干の偏光依存性が残存したが、その解決方法について知見を得、現在検討中である。他方、多段化のために、コンパクトなデバイス構造について検討を行い、知見を得た。 2,光ファイバ遅延線と半導体高速光スイッチを用いた現実的な光バッファを検討し、そのための基本課題として低損失な光ファイバ・導波路間の結合を達成すべく、新たなスポットサイズ変換器について考案した。作製行程について検討を進めている。 3.光再生信号処理デバイスとして、周期構造装荷非線形結合導波路型デバイスを提案し、解析により光3R動作の可能性と、特性について評価を行った。現在鋭意素子作製を行っている。 4,シリコンフォトニックデバイスとして、波長多重光ネットワークで有効なバンド選択インターリーバスイッチを実現した。
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