研究概要 |
本研究では, 画像がもともと空間位置(撮影された場所)と時間(撮影された時刻)という属性を持っている点に注目し, これらを検索の第一プライオリティとすることで体験情報の利用環境を構築することを目標とした。 本年度は下記の3項目について研究を行った。 1. 「利用者からのフィードバックによる改善・改良」として、前年度設計・実装されたVirtual Time Machine(以下VTMとする)を一種のプレゼンテーションシステムとして利用するための改良などを行った。また、様々な利用者がVTMを改良することで本検索手法を容易に利用することができるように、VTMの実装そのものを整理し、容易に拡張が行えるようなものとした。 2. 「情報取得デバイスの改良」として、空間位置情報として精度の高い情報を取得できるようなデバイスの構築を行った。前年度までは空間位置情報としてGPSの位置情報を用いていたが、GPSによる位置情報では誤差が大きく、複数の画像間の位置関係を正確に把握することが難しい。そこで、Structure from Motion技術を用いて複数の画像からそれぞれの撮影位置を推定し、GPSによる位置情報と融合させることで、精度の高い空間位置情報を取得可能にした。 3. 「他者の体験利用検討」として、VTMの表示情報のフィルタリングアルゴリズムの実装を行った。従来利用者自身が取得した情報と他者の情報を同時に利用する場合、表示する情報量が多くなり利用が困難になるといった問題が発生していた。そのため、表示のズーム率に応じて情報の表示密度を変更することでこの問題に対処した。 考察・結論 本研究により、体験記録情報を時間軸・空間軸に配置して効果的に提示することが可能になっただけでなく、利用者によるニーズに合わせてシステムの拡張、より正確な空間軸への配置が可能となる空間情報の取得、他者の体験を同時に提示可能となる表示といった仕組みを開発することができた。
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