本研究では、近年その小型化、軽量化の進展が著しい携帯型プロジェクタを用いることによる情報提示およびインタラクジョンのための新しい技術を提案し、実装、評価することを目的としている。プロジェクタが携帯性を持つことにより、実世界のあらゆる表面がスクリーンとなる可能性がある。その反面、投影された画面を見やすく提示するための実時間画像補正技術が必要となる。そこで、本研究は慣性センサ(加速度センサ等)を用いることで、携帯型プロジェクタの3次元姿勢を取得し、それを基に実時間で画像補正する技術を構築した。 さらに、本研究では携帯型プロジェクタをディスプレイデバイスとしてだけではなく、ロボット操作デバイスとして利用する方法についても提案した。具体的にはプロジェクタによって実世界に投影された画面上のコンテンツに基づいて、物理的なロボットをユーザの意図通りに移動させるための新しい手法を提案した。CoGAMEと名づけられたシステムは、ユビキタス環境において、物理世界と仮想世界を融合した新しいヒューマンコンピュータインタラクション手法として、国内外の学会で展示された。特にACM SIGGRAPHと呼ばれる著名な会議においては、世界中から集まる数多くの研究者に体験的に利用してもらい、多くの有意義な意見交換を行うことが出来た。このデモの様子は、各種メディアにも取り上げられ、展示終了後も多くの問い合わせを受けるなどの反響があった。
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