研究課題
情報爆発に対して人間側の負荷を軽減させるための一つの指針は、人間の状態を情報システム側で検出してインタラクションの支援を行うことであり、そのことは人間を取り巻くセンサ数の増大を必要とする。二次元通信は、爆発的に増大するセンサの実装を可能にする基盤技術である。本研究では、一日中快適に装着でき、むしろ積極的に身に着けていたいと思える形態をしていながら、人間の状態を多様な尺度で計測するデバイスを、申請者らが開発した二次元通信技術を用いて実現した。二次元通信とは、二次元層内で配線なく信号伝達する技術であり、特にマイクロ波帯の信号を用いることで、電気接点なく多数の素子をシートに結合し、素子動作の電力も供給することができる。第一の提案が、リストバンド型筋電計測インタフェース、すなわち、筋電位分布を高解像度で計測できるサポータ状デバイスであり、本年度はこの基礎技術を確立した。もう一つの提案が3次元形状キャプチャシートであった。これは自由な形状に加工できる柔らかい布状のデバイスであって、その布自身の3次元形状を常に計測可能というものである。布の表面に高密度配置された加速度・磁場センサから重力・地磁気に対する面角度を測定し、全体形状を再構成する。布の変形を過度に阻害しないリンク上にセンサが設置され、重力・地磁気方向に対するリンクの角度を計測する。本年度はこの再構成アルゴリズムを確立するとともに、実験的検証を行った。上記の成果に加え、本年度は非接触で触覚情報を提示する基礎技術を提案し、実証する研究を行った。アレイから放射される空中超音波を収束させ、放射圧によって触感を生成させる。現状1.6gfまでの力を提示可能である。1cm径程度のスポットに力を集中し、力の大きさを1ms単位で変化させたり、スポットの位置を皮膚上で高速に移動させることができる。
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