研究概要 |
近年の急速な位置情報システムの普及や発展により,位置情報の利用が活発になりつつある.「位置」に関する情報は単なる座標のみではなく,空間や地理的な情報,隣接や近傍関係,時間的推移といったより高度な情報が含まれる.本研究は,情報爆発時代における位置依存情報の作成・編集・利用基盤の研究開発を目的とし,位置情報が実空間やネットワーク上の情報と結びつき,より高度で多様な位置情報が爆発的に生成・利用されるプラットフォームの実現を目指している.本研究ではこれらの高度な位置情報を「位置依存情報」と呼び,その作成手法や編集・利用手法について検討を行っている.特に位置依存情報活用システムの構築により,位置依存情報の活用に新たなブレークスルーを実現することを目指している.初年度は,我々が無線LANの位置情報ポータルサイトLocky.jpにおいてすでに収集・保持している40万件の無線LAN位置情報データベース(WLDB)を基盤データとして用い,データ収集の関する分析や,位置依存情報を簡便に作成する手法としての無線LAN位置推定の活用,建造物の構造情報を用いた位置情報の表現について検討した.また,これまでは屋外を中心とした位置依存情報利用の検討を進めてきたが,地下街や地下鉄といったGPS等が利用できない場所での位置推定のその応用について検討を進めた.具体的には,名古屋市営地下鉄全83駅について,無線LAN基地局の電波強度情報を収集し,データベースを構築した.このデータベースの利用により,地下鉄駅のホームや改札周辺において,無線LAN端末を持ったユーザが瞬時に自分の位置情報を推定可能であることを確認した.
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