研究概要 |
本年度は、実験環境の整備とそれを用いた基礎検討を進めた。実験環境としては、50コア規模のグリッド環境を構築し、既設の放送映像サーバと連携して動作可能な環境を構築した。そして、2001年より蓄積してきたニュース番組2,391日分(およそ1,200時間分、MPEG1約560GB)について、ショット分割ならびに各ショットの代表フレームの抽出を行い、その結果、約55万枚の代表フレーム画像を生成した。55万枚の画像というのは、画像データのテストコレクションとしては規模の大きいものであり、しかも、7年分のニュース映像から生成しているため、多様な画像が含まれている。そのため、評価実験用のデータとして有用性が高い。そこで、このデータを用いて画像検索の予備実験を実施し、これまでの提案手法の評価、ならびに、グリッド環境および映像コーパスの有用性について検討を進めた。今回実施したショット分割処理は比較的簡単な映像解析処理ではあるが、ヒューリスティックスを組み込んで高精度かつ頑健な処理を行おうとすると、近年の高速なCPUをもってしても、1時間分を処理するのに1コアあたり1時間程度を必要とする。そのため、従来我々が使用していた高々8コア程度の実験環境では、1,000時間分を処理するのに一週間程度必要になる。これに対してグリッド環境を用いれば、1日以下で処理を完了できることになり、テラバイトオーダの映像データを扱う上で、グリッド環境がいかに大きな意味を持つかをよく現している。
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