本研究では、探索・学習などの「探索的検索(Exploratory Search)」の過程を支援するファセット検索システムについて研究し、多次元カテゴリと最良一致検索アルゴリズムを組み合わせて、サーチ、ナビクーション、ビューを行なうプロトタイプシステムMew(Multi-faceted Exploratory search system for Web resources)Plus を実装した。 今年度は、検索対象の適用範囲を拡大するため、メタデータや分類体系を持たない任意のコンテンツ集合に対してファセット検索を適用する手法について研究し、プロトタイプシステムを実装した。具体的には、任意の分類体系について、情報抽出と高精度検索を応用したlight weightなテキスト分類によって、コンテンツや関連テキストからメタデータ相当の特徴量を自動的に取得し、コンテンツを多次元ファセット分類体系にバインドすることができた。コンテンツに応じて、適切な分類下位カテゴリを動的提示する仕組みを提案した。時間と空間のファセットは、可視化インタフェースを実装した。 さらに、より有用な設計とするため、インタネット上で募集した被験者を対象とし、観察、アイマーク、インタビューによって探索や学習のための検索における利用者の認知過程を調査した。その結果、探索の過程で、1)適宜、想定している知識体系がテーマによって切り替わったり詳細化している、2)被験者が、探索すべき情報の下位カテゴリについて明確なフレームワークを有する課題では探索がスムーズに進むことが示唆された。これらの調査結果に基づき、Mew Plusに、探索結果に応じて、詳細化や探索戦略立案に役立つと想定されるサブカテゴリを提示する「視点フレーム」機能を提案し、実装した。実装した各機能の評価は今後の課題である。
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