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2008 年度 実績報告書

TEM内その場ナノインデンテーションによる巨大ひずみ材料の変形挙動解析

研究課題

研究課題/領域番号 19025013
研究機関独立行政法人物質・材料研究機構

研究代表者

大村 孝仁  独立行政法人物質・材料研究機構, 新構造材料センター, 主任研究員 (40343884)

キーワードナノインデンテーション / 巨大ひずみ加工 / 結晶粒微細化強化 / 転位 / 塑性変形 / pop-in / ECAP / Al
研究概要

ECAP加工を施した純Al材料について、マクロな機械的性質が発現する素過程の解明を目的として、結晶粒内部の変形挙動をナノインデンテーション法によって解析した。ぴずみ量の増加にともなって高強度化する現象は結晶粒微細化強化として理解されているが、結晶粒内の変形挙動に関する検証例は少なく、ひずみ量とともに変化する転位組織と変形挙動の関係を明確化することによって、マクロ強度の支配因子の理解が進むと考えられる。
本年度は、ナノインデンテーション法による圧入変形で導入される弾塑性変形時に現れるpop-inと称する不連続変形挙動に着目し、その特徴について受け入れ材と加工材を比較することによって加工による組織変化と変形挙動の関係を考察した。
負荷過程に現れるpop-inと呼ばれる現象は、急激な転位の生成または増殖に対応すると理解されており、圧子直下の転位あるいは転位源密度が低い場合に頻繁に発生することが知られている。受け入れ材の荷重-変位曲線上には多数のpop-inが確認されるのに対し、8パス材の例では、pop-inはほとんど観察されない。Hertzの接触式を変形初期過程にフィットすると、どちらの材料も20〜30μN程度の荷重まで測定値によく一致した。即ち、この範囲では材料は弾性変形であることが確認され、pop-inの発生と同時に弾塑性変形に移行すると理解できる。受け入れ材でpop-inが頻繁に発生するのは、加工前で転位密度が低いことが原因と考えられ、一方の8パス材は転位密度が高く、圧子下には常に可動転位が存在すると推測されることから、pop-inが発生せずに連続的な変形が進行すると考察した。さらに、塑性変形の開始挙動は8パス材でより低い値である一方で、最大荷重に対応する深さは浅くなっていることから、高い転位密度は塑性変形の開始を容易にする一方で、変形開始後は抵抗となることが考察される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Evaluation of matrix strength in ultra-fine grained pure Al by nanoindentation2009

    • 著者名/発表者名
      L. Zhang, T. Ohmura, S. Emura, N. Sekido, F. Yin, X. Min, K. Tsuzaki
    • 雑誌名

      J. Mater. Res. (掲載確定)

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation of matrix strength of ECAPed pure Al by nanoindentation2008

    • 著者名/発表者名
      L. Zhang,大村孝仁, 他6名
    • 学会等名
      GSAM2008
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2008-11-21
  • [学会発表] ナノインデンテーションによる純Al ECAP加工材のマトリクス強度評価2008

    • 著者名/発表者名
      L. Zhang,大村孝仁, 他6名
    • 学会等名
      日本金属学会2008年秋期(第143回)大会
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2008-09-23

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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