研究課題/領域番号 |
19027041
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保 和幸 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (90263665)
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研究分担者 |
三吉 克彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60033924)
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キーワード | ホスフィンイミド錯体 / ビス(ボスフィンイミド)錯体 / キレート錯体配位子 / ヘテロニ核金属錯体 / 分子内ヒドロホウ素化 / 籠型錯体 / 多座カルベン錯体 |
研究概要 |
高周期典型元素から成る不飽和化合物は極めて活性であり、これを反応性配位子として遷移金属に導入することによって、金属-配位子間での協同的・相乗的作用に基づく、新しい機能の発現が期待できる。本研究では、P=N二重結合を有するボスフィンイミドに注目し、これを遷移金属錯体に導入したP-ホスフィンイミド錯体LnM-P(=NR)(OR)2の錯体配位子(メタロリガンド)としての機能、ならびに有機小分子との付加環化反応を検討した。 1. ビス(ボスフィンイミド)鉄錯体をキレート錯体配位子として用い、種々のロジウム錯体とのヘテロニ核金属錯体の合成に成功した。その構造解析の結果、これらの錯体はボート型メタラサイクル構造を有し、2つの金属同士が接近するとともに、鉄上のカルボニル配位子が平面四配位型ロジウムの近傍に位置ボすることがわかった。さらにこのカルボニル配位子は、ロジウムを避けるように折れ曲がっており、電子リッチなロジウムがそのd軌道電子をカルボニルのπ^*軌道へ供与している可能性が示唆された。 2. イソニトリル配位子とアミノホスファイトを有する鉄錯体(η5-CsMe5)Fe(CO)(CNPh)(P(NHPh)(Ome)2)とNaBH4との反応により、新規な籠型化合物が生成することを見出した。この反応は、窒素上の脱プロトン化によって生成するホスフィンイミド中間体が系中に副生したBH3をトラップし、これが鉄に保持されたカルボニルとイソニトリルを分子内ヒドロホウ素化したものと考えられる。即ちこの反応においては、金属に配位した3つの単座配位子がBH3によってワンポットで3座配位子に変換されたことになる。さらに、ここで得られた籠型錯体は柔軟な電子構造を有する新規な多座カルベン錯体として見ることができ、興味深い。
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