研究概要 |
これまで酸素と水素の混合ガスを酸化剤に用いた反応系において,水素の活性化と酸素の還元的活性化に必要な触媒機能の分担と協奏を基盤概念に置くことにより,穏和な条件での炭化水素の部分酸化が可能な触媒系を開発してきた.最近では,Pt/Ti0_2/Si0_2触媒を用いHC1/MeC0_2HあるいはHC1/Me_2CO溶媒を用いることにより,アルカンの選択酸化反応が進行することを見いだしている.アダマンタン酸化では付加価値の高い2級炭素酸化生成物合計の選択率が60%と高く,他の酸化反応系で報告されている選択率(10%)よりも高い特徴を有している.しかし,腐食性のHC1を用いる必要があり,プロセス的には取り扱いにくい.そこで;本特定領域研究においてHC1の代わりに固体酸を機能させることを試みたところ, Pt/TiO_2/H-ZSM-5触媒がベンゼン水酸化反応に活性であることを見いだした. 上述したようにHC1の代わりに,シリカアルミナ,βゼオライト,モルデナイト, ZSM-5等の各種固体酸を担体に用いた触媒を用いて,ベンゼン水酸化を実施したところ,フェノールおよびヒドロキノン,カテコールが生成することを見出した.ベンゼン水酸化生成物以外にはフェノールが水素化されたシクロヘキサノール,およびベンゼン水素化物のシクロヘキサンの生成が観測された.中でもPt/TiO_2/H-ZSM-5が最も水酸化活性が高いことが分かった.Pt以外のPd, Rh, Au, Ru等の貴金属を用いたところ,Ptが特異的に高活性であり,Ptは単に水素分子の活性化に関わるだけでなく, Pt, TiO_2,固体酸の界面が協奏的に作用して活性酸素の生成に関与していることが明らかとなった.
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