研究概要 |
本研究においては次の2つのプロジェクトを遂行した。 1.Kaminnsky型Ziegler-Natta触媒反応に関する配位子架橋基の役割について 不均一型触媒の問題点の改良として見いだされたKaminnsky型メタロセン触媒は現在工業的にも重要な位置を占めている。これらは主に4族の遷移金属にシクロペンタジエニル基等をケイ素原子で架橋したものである。本研究においてはケイ素の架橋基を他の原子,置換基等に置き換えた場合の電子的,立体的影響について調べ新規触媒の開発の基礎となすことを目的とした。架橋基としてはBH,CH_2,NH,O,A1H,SiH_2,PH,およびSについて調べた。この結果,第二周期原子においてはその電気陰性度と立体的効果であるTilt角が共にその反応性と同様の方向性を示している。すなわち電気陰性度が大きいほど反応性が大きくまたTilt角も大きくなっている。一方第一周期原子が架橋基の場合ボロン以外は第2周期原手の架橋基と同様の傾向を示した。ボロン原子においてはその電気陰性度が小さいにも関わらず大きな反応性を示す。これはボロン原子の小さな電気陰性度のため結合しているシクロペンタジエニルの炭素原子のσ電子密度が大きくなりπ^*電子密度を大きくし遷移金属の空軌道の広がりを大きくしたためであることを明きらかにした。 2.幾何拘束型Ziegler-Nattat触媒反応に関する配位子架橋基の役割について 1990年に立体規則性に優れている幾何拘束型(CGC)触媒が提案されておりこの架橋基の影響について理論計算を基に上記の架橋基を用いて調べた。この結果第二周期については上記のKaminnsky型の場合と同様であるが第一周期の架橋基については大きく異なることを明きらかにした。
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