カチオン性単核パラジウム錯体[Pd(NH_3)_4][B(C_6F_5)_4]_2 (1)のTHF溶液に1当量のn-BuLiを-80℃で加え、拡販しつつゆっくりと室温まで戻すとアンモニア配位子からの脱プロトン化に引き続いて単核錯体同士の2量化が進行し[Pd_2(μ_2-NH_2)_2(NH_3)_4][B(C_6F_5)_4]_2 (2)が得られた(収率91%)。(2)に対して同様の反応を行うことにより、環状Pd_4骨格を有する4核錯体[Pd_4(μ_2-NH_2)_4(NH_3)_4][B(C_6F_5)_4]_2 (3)が得られた(収率31%)。この際、鎖状骨格を有する対応する4核錯体の生成は見られず、環状骨格を有する化合物だけが選択的に生成した。一方、パラジウムの系とは異なり、[Pt(NH_3)_4][B(C_6F_5)_4]_2 (4)を同様の条件下で反応させても2核錯体の生成は観測されなかった。そこで(4)に対して2当量のn-BuLiを加えて[(NH_3)_2Pt(μ_2-NH_2)_2Li][B(C_6F_5)_4] (5)を調製し、次いで[Pd(py)_4][B(C_6F_5)_4_2 (6)と反応させたところ、ヘテロ2核錯体[(NH_3)_2Pt(μ_2-NH_2)_2Pd(py)_2][B(C_6F_5)_4]_2 (7)が得られた(収率89%)。(7)に対してさらに(5)を反応させると、鎖状骨格を有する3核錯体[Pt_2Pd(μ_2-NH_2)_4(NH_3)_4][B(C_6F_5)_4]_2 (8)が生成した(89%)。(2)、(3)および(8)についてはX線解析を行い構造の詳細を明らかにした。(7)は^1HNMR、質量スペクトルおよび元素分析により同定した。また、(2)のTHF溶液中に過剰の章酸リチウムを加えることで、(2)の対アニオンを硝酸イオンに交換した化合物が得られることも明らかにした(収率82%)。
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