研究課題
本研究では、芳香族化合物の中で最も基本的な化合物である高周期14族元素シクロプロペニリウムイオン、シクロブタジエンジアニオン、シクロペンタジエニドイオン、ヘキサシラベンゼンなどの一連の芳香族性高周期14族元素化合物の化学を実験的に展開し、理論計算との連携によりメタロアロマティシティーの概念を構築することを目的とした。1.骨格が全てケイ素からなるシクロブタジエンジアニオンの合成を検討した。テトラブロモテトラシレタンと6.0当量のカリウムグラファイトとの反応により、テトラシラシクロブタジエンジアニオンカリウム塩を合成した。実験・理論の両面から高周期元素シクロブタジエンジアニオンは非芳香族性であることを明らかにした。さらに、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属を作用させることで、対応するリチウム塩、ナトリウム塩の合成にも成功した。また、還元剤の当量をコントロールすることで、高周期元素シクロブテンであるジブロモテトラシレテンの合成も達成した。2.合成した高周期元素シクロブテン及びシクロブタジエンジアニオンを前駆体として(η^4-テトラシラシクロブタジエン)トリカルボニル鉄錯体の合成を行った。X線結晶構造解析の結果、テトラシラシクロブタジエン配位子はη^4型で鉄原子に配位レており、平面性を有していることが明らかになった。また、環内の4つのsi-si結合長は2.2610(7)-2.2802(7)Aの範囲内であり、典型的なケイ素一ケイ素単結合長と二重結合長の中間の値であった。各種分光学的性質から高周期元素シクロブタジエン配位子は炭素シクロブタジエン配位子よりも強い電子供与性であることが明らかにした。
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