研究課題/領域番号 |
19030005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
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研究分担者 |
岩滝 光儀 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 助教 (50423645)
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キーワード | 窒素固定 / 貧栄養海域 / シアノバクテリア / 黒潮域 / Trichodesmium / ナノプランクトン |
研究概要 |
淡青丸KT-07-22(9月)および「みらい」MRO7-06(10月〜12月)において、それぞれ東シナ海黒潮域および西部南北太平洋熱帯・亜熱帯海域において観測を行い、窒素固定活性および窒素固定者の試料をえた。これらについては現在解析を進めているが、これまでに東シナ海で行った2005年および2006年の9月の淡青丸航海で得た試料の解析から以下の結果を得た。東シナ海では、主要な窒素固定生物は10μm以小にあった。窒素固定活性には生物によって活性の現れる時間帯が異なり、>10μm画分は昼間のみ、>10μm画分は昼夜とも活性を示した。>10μmの画分は、T. erythraeumとT. thiebautiiが卓越していたが、T. erythraeumとT. thiebautiiでは藻糸当たり活性が異なり、それぞれ2.9、1.1 pmolN藻糸-1h^<-1>であった。<10μm画分では夜間に活性が高く、ナノプランクトンサイズのシアノバクテリア(以下、ナノシアノバクテリア)の細胞密度と有意な相関を示した。この関係から求めた1細胞当たりの活性は培養株から得た活性と同程度であったこと、ナノシアノバクテリアが夜間の窒素固定活性を担っていると考えられる。注目されるのは<10μm画分が昼間に高い活性を示し、Synechococcusの細胞密度と有意な相関を示したことである。昼間に窒素固定を行う小型の窒素固定者の活性は、平均2.3 nmolN L^<-1> d^<-1>であり、Trichodesmiumおよびナノシアノバクテリアよりも高く重要な生物群であると考えられる。既往知見では昼間に窒素固定活性を持つピコ・ナノプランクトンサイズのシアノバクテリアの報告はなく、その実体解明は今後の重要な課題である。
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