研究課題/領域番号 |
19030007
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
豊田 栄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (30313357)
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研究分担者 |
山田 桂太 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (70323780)
上野 雄一郎 東京工業大学, グローバルエッジ研究院, 特任助教 (90422542)
吉田 磨 酪農学園大学, 環境システム学部, 講師 (20448830)
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キーワード | 安定同位体比 / メタン / 硫化カルボニル / 植物プランクトン / 測定法開発 / 大気海洋 |
研究概要 |
直接・間接的に地球の放射エネルギー収支に寄与するメタン(CH_4)と硫化カルボニル(COS)は、海洋表層-大気下層において生物活動に起因して生成するが、好気的CH_4生成の有無とその機構、COSの物質収支については不明な点が多く残されている。本研究では安定同位体比を利用して、植物プランクトンの培養実験による酸化的CH_4生成の検証と生成機構の解明、およびCOSの高感度・高精度硫黄同位体比測定法の開発と大気・海水試料への適用を試み、本年度は以下の成果が得られた。 1. 研究協力者(学外研究者および大学院生)の協力も得て木崎湖、深見池、諏訪湖で植物プランクトンを採取し、無菌的に室温自然光条件下で培養した。CH_4の生成を確認するとともにその炭素同位体比を測定した。前年度北太平洋において採取した海水試料の分析結果の解析を進め、この海域で観測された亜表層の過飽和溶存メタンは微小粒子内の還元環境下でメタン生成菌によって生成されたものと推定した。今後、種々のプランクトンについて純粋培養して生物種、温度、光条件などに対する依存性についての研究を展開することにより、酸化的CH_4生成の重要性が明らかになると期待される。 2. フラグメンテーションを利用したCOSの高精度硫黄同位体比測定法の開発を進めた。研究協力者(大学院生)の協力を得て、COS硫黄同位体比の標準試料の国際標準物質(CDT)に対する較正を行うために、COSの標準ガスを精製後、SF6に変換して4種硫黄同位体比を測定した。並行して大気・海水中に存在する微量COSを抽出、濃縮、分離するための前処理装置を試作し、GC/FPDと組み合わせて基礎実験を行った。今後、分析精度の向上、海水試料の分析法開発に取り組むことにより海洋表層-大気下層におけるCOSの挙動解明が期待される。
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