研究課題/領域番号 |
19030009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 洋一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (70335298)
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研究分担者 |
池田 元美 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (50261227)
豊田 隆寛 海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, ポストドクトラル研究員 (90450775)
淡路 敏之 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40159512)
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キーワード | 海洋科学 / データ同化 / 数値モデル / 海洋生態系 / 統合データセット / 表層循環 |
研究概要 |
海洋表層における生物化学過程を含んだ物質循環を再現するために、adjoint法高分解能海洋大循環データ同化システムによって作成された高精度の物理循環場に生態系モデルNEMURO(Kishi, et. al.,2007)を組み合わせたモデルを開発した。このモデルを用いて2003年以降の海洋表層の生物、化学場とその変動を再現したデータセットを作成した。このデータセットについての評価を行うために、衛星データから得られたクロロフィル量などとの比較を行った。今後も他の観測データとの比較を通じてデータセットの評価を行うとともに、生物化学過程の変動における物理循環場の役割に注目した解析を行っていく。 また、中規模渦を分解しない比較的粗い分解能を用いて中層のC02分布を再現するデータ同化実験についても行った。この実験において、黒潮続流域における中規模渦による混合の効果を見積もったところ非常に大きな影響みられ、中層の化学トレーサの分布とその変動の再現のためには中規模変動の適切なパラメタリゼーションが不可欠であることを明らかにした。 さらに、生物化学過程をターゲットとした本格的なデータ同化システムの構築に向けて、NEMUROモデルに4次元変分法を適用したデータ同化システムのプロトタイプを作成した。このシステムの性能を評価するために仮想的な実験を行ったところ、現実的な量、精度の観測データでも十分に生物化学過程の推定が可能であることが示された。この結果は生態系データ同化システムの今後の発展に期待を持たせるものであり、今後はより複雑かつ現実的な状況で実験を行いながら、システムの開発を進めていく。
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