研究課題
1. 抗菌ペプチド-マガイニン2の脂質膜中でのポア形成のメカニズムを解明するために、脂質膜の表面電荷密度がポア形成に与える効果を単一巨大リポソーム(GUV)法により研究した。負電荷を持つジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)とジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)の混合膜のGUVを作成し、膜内でのDOPG濃度を変えることにより、GUV膜の表面電荷密度を制御した。ポア形成の速度定数K_pを求めた結果、同じ速度定数になる水溶液中のマガイニン2の濃度は膜の表面電荷密度が小さくなるにつれて、大きく増大した。蛍光分光光法と静電相互作用の理論を用いてマガイニン2の脂質膜への結合定数を求め(30%DOPGと40%DOPGのGUVのみ)、脂質膜界面に結合したマガイニン2の濃度(膜界面におけるマガイニン2と脂質のモル比)X_bを求めることに成功した。それを用いて上記の実験結果の水溶液中のマガイニン2濃度をX_bに変換したところ、膜の表面電荷密度にかかわらず、X_b=60-70mmol/molところから急激にK_pが増大することがわかった。このことは、X_bがポア形成に重要な役割を果たすことを示す。2. pHを低くすることによる20%ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)/80%モノオレイン(MO)膜の一枚膜のリポソーム(LUV)からキュービック相への構造転移のメカニズムを解明するために、20%DOPS/MO-LUV間の膜融合が起こるかどうかを蛍光のエネルギー移動法を用いて研究した。その結果、pH2.7以下の酸性条件下では、10-15分程度でLUV間の脂質の混合が起こり、膜融合が起こることがわかった。この結果は、20%DOPS/MO-LUVが低いpHでキュービック相に構造転移を起こすときに、まずLUV間の膜融合が起こっていることを示している。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (19件) 備考 (1件)
Advances in Planar Lipid Bilayers and Liposomes 9(In press)
J. Phys. Chem. B 113
ページ: 4846-4852
膜 34
ページ: 126-132
Arch. Biochim. Biophys 477
ページ: 113-120
Cell Tissue Res 333
ページ: 297-309
Proceedings of International Symposium on Micro-NanoMecha- tronics and Human Science (MHS 2008 & Micro-Nano COE) CFP08768
ページ: 130-134
Advances in Planar Lipid Bilayers and Liposomes 7
ページ: 121-142
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~spmyama/index.html