研究課題/領域番号 |
19031012
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
瀧口 金吾 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20262842)
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研究分担者 |
木下 専 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30273460)
梅田 民樹 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 准教授 (90243336)
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キーワード | 巨大人工膜小胞(リポソーム) / 細胞骨格 / 生体膜形態制御 / 光学顕微鏡 / 電子顕微鏡 / リアルタイムイメージング |
研究概要 |
脳は、脂質含量が多く、神経細胞は多くの突起を持つ複雑な形態をしており、また内部では活発に膜小胞輸送を行っているなど、膜のダイナミックスが活発な場所である。我々は脳から新規の膜作用蛋白質を探索するため、ブタ脳Cytosolを巨大リポソームに作用させ、暗視野顕微鏡下で膜が変形する過程を直接リアルタイムイメージングした。その結果、リポソーム膜から多数のチューブ状の突起が出てくる現象が観察された。その原因蛋白質を同定したところ、第4の細胞骨格と言われるSeptinであった。SeptinはGTPaseドメインをもっており、重合してフィラメントやリング状の構造を形成する。また、Polybasicドメインも持っており、そこで膜に結合することが示唆されている。突起形成を起こしたリポソームを電顕観察したところ、突起部分の太さは約400nmと揃っており、Septinは膜表面上で重合して突起の周囲を巻くように線維形成していた。SeptiEは、細胞内では分裂中の細胞の分裂面や神経細胞のExocytosisが起こっている部位など膜が活発に変形しているところに局在していることが知られているが、その具体的な機能についてはまだ不明である。今回の結果により、Septinが膜の形態形成に積極的に関与し変形を促している可能性が示唆された。今後引き続き詳しい作用機構について解析して行く予定である。今回の研究成果は、リポソームの変形過程を直接観察する系が新しい膜作用蛋白質の探索に有効なことを示している。また、この系の開発により、他の蛋白質による膜変形の過程も詳細に観察できるようになることが期待される。
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