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2007 年度 実績報告書

応力場に置かれた高分子ゲルのスローダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 19031014
研究機関京都大学

研究代表者

浦山 健治  京都大学, 工学研究科, 准教授 (20263147)

キーワード高分子ゲル / ジェラン / 物理ゲル / ゲル / スローダイナミクス / 破壊
研究概要

溶媒中にある高分子ゲルの膨潤度は外力に対して敏感であり,平衡膨潤状態にあるゲルに外場を加えると収縮またはさらに膨潤する「応力場と膨潤の交叉現象」が知られている.本研究は,この交叉現象の大変形の破壊挙動に対する影響の解明を目的とした.具体的には物理ゲルの-種であるジェランの円柱状ゲル(高さ約10mm)を作製し,広範囲な圧縮速度(100mm/minから0.005mm/min)で圧縮試験を行ない破壊挙動調べた.また,圧縮の境界条件の影響を調べるために,ゲルの圧縮面を初期状態のまま変化しないように拘速した条件(C2)と拘束せずに自由に変形できる条件(C1)で圧縮した.測定中のゲル中の水の蒸発を避けるために流動パラフィン中(ゲルの非溶媒)で測定した.C1条件では圧縮速度が遅くなるとゲルからの離水が観察されたが小規模であり,どの圧縮速度でも圧縮途中でぜい性的に破壊した.一方,C2条件では0.01mm以下の圧縮速度になると多量の水の流出が観察され,90%以上の圧縮ひずみでもマクロ破壊しなかった.ディスク状にまで高圧縮されたゲルを水中で再膨潤させると,C2条件でひずみ集中が起こる中心部で真っ二つにゲルがマクロに分離した.これらのことから,C2条件ではミクロな亀裂がひずみ集中が起こる中心部に集中し,さらに水の流出が起こってゲルが濃縮されることによりゲルが強靭化したことがわかる.一方,C1条件ではひずみが均-であるため,ミクロな亀裂がすぐにマクロな亀裂に進展するため高圧縮できないと考えられる.また,同-ひずみで応力緩和挙動を比較するとC2条件の方がC1条件よりも緩和量も水の流出量も圧倒的に大きいことも上記の考察を支持する.高分子ゲルの圧縮破壊モードが圧縮速度と境界条件に強く依存し,「脆性破壊挙動」から「多量の水を流出してマクロ破壊しない高圧縮挙動」まで変化することを実証することができた.

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Selected Issues in Liquid Crystal Elastomers and Gels2008

    • 著者名/発表者名
      Urayama, K
    • 雑誌名

      Macromolecules 40

      ページ: 2277-2288

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Network Topology-Mechanical Properties Relationships of Model Elastomers2008

    • 著者名/発表者名
      Urayama, K
    • 雑誌名

      Polymer Journal 40(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 刺激応答性液晶エラストマーの新展開.2008

    • 著者名/発表者名
      浦山健治
    • 雑誌名

      高分子 57(印刷中)

  • [雑誌論文] Stretching-Induced Director Rotation in Thin Films of Liquid Crystal Elastomers with Homeotropic Alignment2007

    • 著者名/発表者名
      Urayama, K., Mashita, R., Kobayashi, I., Takigawa, T.
    • 雑誌名

      Macromolecules 40

      ページ: 7665-7670

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Loading Effect on Swelling of Nematic Elastomers2007

    • 著者名/発表者名
      Urayama, K., Mashita, R., Kobayashi, I., Takigawa, T
    • 雑誌名

      J. Chem. Phys. 127

      ページ: 144908-1-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Steady Flow Properties of a Mixed Solvent through a Poly(N-isopropylacrylamide) Gel2007

    • 著者名/発表者名
      Nosaka, S., Ishida, T., Urayama, K., Takigawa, T.
    • 雑誌名

      J. Membrane Sci. 305

      ページ: 325-331

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 液晶エラストマーの刺激応答特性2007

    • 著者名/発表者名
      浦山健治
    • 雑誌名

      日本ゴム協会誌 80

      ページ: 52-58

  • [学会発表] 超低ひずみ速度におけるジェランゲルの高圧縮挙動2007

    • 著者名/発表者名
      田岡, 浦山, 中村, 瀧川
    • 学会等名
      レオロジー討論会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2007-11-01
  • [学会発表] 高分子網目系ソフトマテリアルの刺激応答挙動の研究2007

    • 著者名/発表者名
      浦山健治
    • 学会等名
      高分子討論命
    • 発表場所
      名古屋工業大学
    • 年月日
      2007-09-19
  • [学会発表] ジェランゲルの破壊挙動に及ぼす圧縮速度の影響2007

    • 著者名/発表者名
      田岡, 浦山, 中村, 瀧川
    • 学会等名
      日本レオロジー学会年会
    • 発表場所
      京大会館
    • 年月日
      2007-05-14
  • [学会発表] 高分子ゲル膜を利用した混合溶媒の透過挙動2007

    • 著者名/発表者名
      野坂, 石田, 浦山, 瀧川
    • 学会等名
      日本レオロジー学会年会
    • 発表場所
      京大会館
    • 年月日
      2007-05-14
  • [学会発表] ゲルの膨潤ダイナミクスに及ぼす形状異方性の影響2007

    • 著者名/発表者名
      村田, 野坂, 浦山, 瀧川
    • 学会等名
      日本レオロジー学会年会
    • 発表場所
      京大会館
    • 年月日
      2007-05-14
  • [図書] Electro-Mechanical Effects in Swollen Nematic Elastomers″, in ″Cross-Linked Liquid Crystalline Systems″2008

    • 著者名/発表者名
      Urayama, K(Broer, D., Crawford, G. p., Zumer, S., 編集)
    • 出版者
      CRC Press(印刷中)

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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