研究概要 |
最初に,研究で用いるLCLVの基本特性の測定を行った。光フィードバックが無い状態においてWrite側に均一な書き込み光Iを入射し,0Vから10Vの交流電圧Vを印加したときの液晶の複屈折変化を測定した。書き込み光の強度を1mW程度まで段階的に変えて同じ実験を行った。この実験から液晶の傾き角の外場(I,V)依存性を特定した。このデータは,自己組織化パターンの数値シミュレーションを行う際に使用する重要な基礎データとなった。自己組織化パターンは,光フィードバックの下で生じる傾き角の双安定性かに起因するため,双安定状態が出現する外場(I,V)の条件を特定した。 光フィードバックの際に,光回路のレンズの焦点を結像位置からずらした像をWrite側に映すと,孤立したスポットからなる自己組織化パターン(局所構造)が出現することがあると報告されていた。そこで,我々の実験系で局所構造が出現する電圧V,光強度実験I,回折長Lの実験パラメーターを探索したが,局所構造を観測することはできなかった。実験では多くの不均一性が有るため,局所構造の出現領域を特定するのは困難と思われるため,数値シミュレーションで出現条件を探索することにした。その為,以前に作成した数値計算モデルを拡張し,回折効果が計算できるように改良した。この改良モデルを用いて計算したところ,回折長を-15cm以上にすると局所構造が出現することがわかった。しかし,現有の設備では,この実験を実現することは困難であった。 上記の他,干渉型光フィードバック下で出現する花弁状パターンの安定性の解析を行った。静的な花弁状パターンがある電圧で揺らぎはじめ,電圧の増加と共に揺らぎが増大した。静的なパターンが不安定化する前に,隣り合う花弁の色が交互に変わる2色性の花弁パターンが出現することを発見した。
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