研究課題
発光素子の効率・安定動作・信頼性には、バルクの結晶欠陥とともに、ヘテロ界面での禁制帯内連続電子準位(界面準位)や端面での表面準位の特性が影響する場合が多いが、これらの特性は明らかになっていない。本研究では、GaNおよびAlGaNのバルク欠陥準位と表面・端面・ヘテロ界面における表面電子準位を詳細に評価し、その特性の理解と制御を目的として研究を展開した。1) Al組成26%のAlGaN混晶にショットキー接合を形成し、暗中および光照射下での過渡容量応答評価を行なった。伝導帯下端より1.0eVおよび禁制帯中央付近の深い準位からの応答を検出し、詳しい解析の結果、5-8×10^<16>cm^<-3>程度の比較的高い密度を有することを明らかにした。2) 保護膜高温熱処理によるp-GaN表面の特性変化を詳細に評価した。XPS解析より1000℃以上の熱処理によりGa原子の外方拡散とMg原子の表面偏析が明らかになった。また、電流-電圧測定とPL評価より深い準位の生成による表面抵抗の増大が観測され、Ga空孔や格子間Mgに関連する複合欠陥の存在が示唆された。3) 電気化学酸化によるGaNおよびAlGaNの表面制御を検討した。酸化膜を溶液除去した表面に金属接合を形成した場合、接合特性の均一性が向上することが確認された。また、ドライエッチングで形成したナノ細線側面を選択的に酸化した場合、細線の伝導特性が向上することが明らかになった。これらの結果より、電気化学酸化による表面欠陥や表面準位の低減が確認され、表面制御に適用できる事を示した。
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