研究課題/領域番号 |
19032002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾鍋 研太郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50204227)
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研究分担者 |
片山 竜二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (40343115)
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キーワード | エピタキシャル成長 / MOVPE / 有機金属気相成長 / 窒化物半導体 / InN |
研究概要 |
本研究では、研究期間内においてInN薄膜のMOVPE成長技術に確実な見通しをつけることを目的としている。InNのMOVPE成長には、InNの分解が生じない500〜600℃の比較的低い成長温度が必須であるが、本研究ではそのためのN原料として、一般的に用いられるNH_3よりも低温で高分解効率を有するジメチルヒドラジン(DMHy)を用いている。一方、DMHyはIn原料のトリメチルインジウム(TMIn)と室温で低蒸気圧のアダクトを形成しInN成長を阻害することから、この寄生反応を抑制することが本研究における重要課題であった。平成20年度は、前年度効果を確認した原料ガスの分離供給法をさらに発展させ、下記各項目に示すように、分離供給法における詳細なInN成長特性を明らかにし、分離供給法が寄生反応を抑制することに有効であることを確立した。また、サファイア(0001)基板上のInN薄膜の構造的特性の詳細を成長条件との関連において明らかにした。 1)細管により成長領域へ直接導入するガス種がTMInである場合に、成長特性の細管先端位置依存性を検討し、実効的V/III比などの影響を明らかにした。 2)細管により成長領域へ直接導入するガス種がDMHyである場合に、成長特性の成長温度、V/III比、圧力依存性、TMIn供給量依存性を明らかにした。成長温度500℃〜570℃においてInN成長を確認した。 3)細管により成長領域へ直接導入するガス種がDMHyである場合に、成長特性の細管先端位置依存性を検討し、実効的V/III比などの影響を明らかにした。 4)六方晶InNがサファイア基板上に単一ドメインで、[10-10]InN//[11-20]sapphireのエピタキシャル関係で成長することを確立した。 5)質量分析器による反応ガス分析システムを導入し、基本性能の確認を進めた。 これらの成果は、InNにもとづく光・電子デバイスを実用化するための高品質InN薄膜を、MOVPEにより実現することの可能性を強く示唆するものである。
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