研究概要 |
平成19年度は,マイクロ波から物質へのエネルギー移動過程をレーザーラマン分光法ならびに光励起発光分光(フォトルミネッセンス法)により評価するためのシステム構築に注力した。 まず,マイクロ波照射のシステムとして,半導体増幅による小型マイクロ波源を入手した。マグネトロンではなく半導体増幅であるため,導波管中での定在波を実現できる。それによって,試料に作用する電界成分と磁界成分を分離できる。ラマン分光システムは既存の物を用いる予定であったので,それに組み込みやすい小型のマイクロ波源とした。しかし既存ラマン装置が11月の時点で動作不良となったため,急派別途ラマンユニットを導入することとし,マイクロ波照射システムとの組み合わせ作業を行った。 また,評価用の試料としてZnOにMnを固溶したZnMnOとCuFe0_2を作製した。イオン結合性が強く圧電性を有するZnOと,同一構造を有しかつ磁性元素を含有するZnMnOを用いることで,電界および磁界中でのフォノンの振る舞いを比較し,それぞれの役割・効果を検討できる。本年度の研究で,酸化亜鉛単結晶上にZnMnOを成長させ,Mn濃度15%まで析出物等の一切無いpseudo-morphicな成長を実現した。一方デラフォサイト構造CuFe0_2は通常の焼結法によって完全単相のセラミックサンプルを作製した。FeをA1に置換することによってZnMnOと同様に磁性一非磁性サンプルを作り分けることも可能である。また2.45GHzマイクロ波加熱によるCuFe02セラミックスの作製も試み,わずかにFe-O化合物が混在するものの,CuFeO_2を得ることに成功した。
|