研究概要 |
観測的宇宙論における中心課題のひとつは,超新星サーベイ観測などの高精度宇宙論観測が示唆する宇宙の加速度膨張である。そめ加速膨張の説明には,いくつかの学説がある。その立場はいくつかあり,未知のエネルギーであるダークエネルギーの導入,非一様な宇宙モデルでの再解釈,あるいは,時空モデル、(重力理論)の修正である。 非一様モデルも重要であるが,新しい物理の探究の観点から,重力理論の修正モデルの検証可能性について調べた。 具体的には,シャピロの時間の遅れを用いたさまざまな重力理論モデルの検証について論じだ。過去にも,PPN定式化を用いたシャピロの時間の遅れめ議論が多くある。しかし,近年の新しい理論模型のなかには,9PN法の取り扱いを越えるものが現れている。 従って,本研究では,球対称な時空において修正重力をパラメタ化して表現した。例として,ブレーン高次元宇宙モデルであるDGP模型,質量を持ったグラビトン(重力子)の模型,そして宇宙定数を有するアインシュタイン方程式の解であるシュバルツシルト・ドジッター解を含んだパラメタ化となっている。シャピロの時間の遅れが,この修正重力模型のパラメタにどのように依存しているのかを明らかにした。特に,シャピロの時間の遅れに対する,モデル間の縮退を指摘した。その結果,少なくとも3つの異なる光の軌道に沿って精密測定する事が,このモデル間の縮退を解くのに必要である事を初めて示した(Asada, Phys. Lett. B. 2008)。
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