アラメチシンは20残基からなる直鎖状ペプチドで、細菌trichoderma virideから得られる抗菌ペプチドである。このペプチドは膜に結合して電位駆動型イオンチャネル活性を持つことが知られている。本研究ではカルボニル炭素の大きな化学シフト異方性に注目して、化学シフトテンソルをペプチドが膜法線の周りで回転している運動モデルを用いて解析した。この結果、N-末端はα-へリックスを形成して膜法線から17度傾き、C-末端は3_<10>-へリックスを形成して膜法線から30度傾いている詳細な立体構造と膜に対する配向が明らかになった。 バクテリオロドプシンはHalobacterium Salinarumの紫膜に存在する内在性膜タンパク質であり、光駆動型プロトンポンプ活性をもっている。本研究では[ζ-15N]Lys-bRの15NCP-MAS-NMRスペクトルを観測して、圧力と光により誘起されるレチナールの異性化を観測した。この結果、圧力順応状態では13-cis状態が増加し、明順応状態ではall-trans状態が増加することが判明した。さらにTyr-185近傍のタンパク質の主鎖は2つの構造が共存したことから、レチナールの異性化は近傍のタンパク質に局所的に影響を与えることが分かった。 Pharaonis Phoborhodopsin (ρpR)はtransducer (ρHtrII)と複合体を形成して、負の走行性を示す信号伝達機能をもっている。ρpR-ρHtrII複合体の固体NMRを観測した結果、暗順応状態では細胞質側のρHtrIIはρpRのC-末端と相互作用をもっているが、光活性状態ではC-末端とρHtrIIとの相互作用は弱くなることが判明した。さらにρHtrIIの信号を観測したところ、暗順応状態ではC-末端との相互作用を示したが、光活性状態ではpHtrII同士で相互作用を示し、相互作用のスイッチングを伴う信号伝達機構の存在が明らかになった。
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