研究課題/領域番号 |
19036012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菊地 和也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70292951)
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研究分担者 |
水上 進 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30420433)
堀 雄一郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00444563)
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キーワード | MRI / <19>^F / Gd^<3+>錯体 / 常磁性相互作用 / caspase / in vivo イメージング / 緩和時間 |
研究概要 |
生体分子の機能や局在を調べる技術として、従来より蛍光プローブが用いられてきた。しかしながら、個体レベルで可視化するには、光透過性の問題があり蛍光法とは異なるアプローチが必要となる。核磁気共鳴画像法(MRI)は、生体の断層画像を非破壊的・非侵襲的に得ることのできる方法のひとつであり、主に医学分野で組織や臓器などの形状・状態を調べるために用いられている。一方、個体レベルで、生体分子の機能を明らかにするために開発されたMRIのためのプローブは、現在のところほとんど知られていない。本研究では、in vivoイメージングに向けて、アポトーシスに関わる酵素の一つであるカスパーゼの活性を捉えることのできるMRIプローブの開発を行った。まず、^<19>Fが体内には殆ど存在しないことに着目し、プローブの観測核として^<19>Fを含む化合物をプローブに組み込み、特異的にF^<19>のシグナル変化を捉えられるようにプローブの設計を行うこととした。さらに、酵素反応によりMRシグナルが変化するようにcaspase切断配列をもつペプチドと、常磁性相互作用により^<19>Fのシグナルを減少させることのできるGd^<3+>錯体を^<19>F化合物に組み込んだプローブを作製した。caspaseをプローブ試料に添加すると、プローブの^<19>Fの横緩和時間が増大しシャープなNMRシグナルが観測された。これは、酵素反応前ではGd^<3+>との分子内常磁性相互作用により^<19>Fの緩和時間が短縮していたが、酵素反応によりプローブが切断され分子内常磁性相互作用が解消されたことを示している。本研究の成果は、in vivoでアポトーシスに関わる酵素であるcaspaseの活性をMRIにより可視化するための基礎的技術を提供するものである。
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