研究概要 |
レグインスリン結合タンパク質(LBP)ははin vitroにおいてタンパク質チロシン残基をリン酸化する活性を持つタンパク質である。この活性はホルモン様ペプチドであるレグインスリンの結合によって促進される。レグインスリン/LBPの生理機能の詳細は明らかとなっていないが,ニンジンカルスを用いた実験から,植物の成長や分化,防御応答に関わると考えられている。本研究ではレグインスリン結合タンパク質の立体構造をX線結晶構造解析により決定し,レグインスリン/LBPの機能を構造生物学的に解明することを目指している。得られる結果は植物の情報伝達システムの解明に繋がると考えている。本研究ではダイズ由来LBP及びニンジン由来のLBPホモログであるEDGPを研究対象とし,それらの結晶構造解析を進めている。ダイズLBPとニンジンEDGPとのアミノ酸配列の相同性は約30%である。すでにダイズLBPの結晶は得られていたが,今回結晶化条件を再検討することで,筑波高エネルギー加速器研究機構放射光施設(PF)において1.90Å分解能のX線回折強度データを得た。またニンジンEDGPの結晶化に初めて成功した。ニンジンEDGPの結晶を用いて,PFで回折強度データの収集を行ったところ,1.50Å分解能のX線回折強度データを得ることに成功した。また,重原子同型置換法による構造解析を目指し,重原子誘導体の検討を行ったところ,構造決定に有効な誘導体の調製に成功した。現在,構造解析を進めている。
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