研究課題
平成19年度までに、テトラヒメナの発現系を用いて、3頭構造をもつ軸糸外腕ダイニンのそれぞれの頭部のC末端側にタグを挿入して蛍光標識を行い、それらが微小管上を連続的に動くことを観察してきたが、本年度は3つの頭部の動きを詳細に解析し、複数頭部のあいだの運動の協調性を見ることを目的に実験を行った。ダイニン頭部の可視化のためのプローブとして安定した蛍光をもつQdotを利用しているが、シグナルのノイズが大きく、その原因としてレールとなる微小管の種類や、微小管のガラス上への固定法が不十分であることが考えられる。そこでレールとしてテトラヒメナの軸糸を使用したところ、ややノイズが減る傾向があることがわかった。しかし、ナノメートルレベルの解析には十分ではなかったため、ガラスへの固定法として、(1)アゾポリマーで処理したガラス意表面上に光照射で軸糸の固定を行ったところ、改善が見られた。また、(2)ガラス表面をシラン化して共有結合あるいはキネシンミュータントを利用して微小管を固定する方法を検討中である。さらにまた、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡による観察像からその輝点の重心を自動的に求めるためのプログラムを開発し、自動追跡により大量のデータを効率よく処理することが可能となった。テトラヒメナの発現系を使ったダイニンの構築としては、ダイニン尾部のN末端や、尾部の頭部よりの位置にタグを導入し、蛍光標識をすること及びそれらの運動性を確認した。
すべて 2008
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